ある日、複数商品を持ったお客様から
「これ健康食品だから合わせて飲んでも大丈夫でしょ?」と聞かれました。
確かに大丈夫だけど飲み過ぎも良くない。
そもそも
健康食品とは何か?
医薬品とは何か?
ついでに医薬部外品とはなにか?
この3つをハッキリと知ることで
使い分けが出来たり
より自分に合った物が選べます。
ではそれぞれ何が違うか見ていきましょう!
結論は「まとめ」に書いてありますので
急いでる方は「目次」から飛んでください!
ドラッグストア勤務25年
店長として20年勤めた登録販売者の
けんじがお伝えします。
健康食品
健康食品の定義と種類
健康食品とは
法律上の定義は無く、医薬品以外で経口的に摂取される、健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂られている食品全般を指しているものです。
厚生労働省HP
そのうち、国の制度としては、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした「保健機能食品制度」があります
簡単に言うと
健康食品は「食品」なので効能、効果があるとは言えません。
例えばトマトを買う時に効能効果が書いていないのと同じです。
その一方、国が定めた安全性や有効性に関する基準などに従って
食品の機能が表示できる健康食品もあります。
その総称を「健康機能食品」と言います。
健康機能食品は3つに分かれます。
- 栄養機能食品
- 特定保健用食品
- 機能性表示食品
- 特別用途食品
例えばトマトジュースに
「リコピン含有でHDL(善玉)コレステロールを増やすことが出来ます」
と表記している物です。
おっと・・・話が複雑になってきたぞ・・・
とりあえず「普通の健康食品」と
「国が定めた基準の健康食品」があるらしい。
【番外編】
令和2年6月1日から施行された改正食品衛生法では
食品衛生上の危害の発生を防止する見地から
特別の注意を必要とする成分又は物であって
厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定したもの
(以下「指定成分等」という。)を含有する食品が
「指定成分等含有食品」と定められました。厚生労働省HP
食品衛生法第8条第1項に規定する食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物として、次のものが指定されています。
栄養機能食品
栄養機能食品とは
特定の栄養成分の補給のために利用される食品で
栄養成分の機能を表示するものをいいます。
対象食品は消費者に販売される容器包装に入れられた
一般用加工食品及び一般用生鮮食品です。
栄養機能食品として販売するためには
一日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が
定められた上・下限値の範囲内にある必要があるほか
基準で定められた当該栄養成分の機能だけでなく注意喚起表示等も
表示する必要があります(食品表示基準第7条及び第21条)。厚生労働省HP
また、栄養機能食品は個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度となっています。
※特定保健用食品、栄養機能食品及び機能性表示食品以外の食品に
食品の持つ効果や機能を表示することはできません。(食品表示基準第9条)
簡単に言うと
国が定めた成分の含有量が基準に達していれば申請しなくても
「栄養保健食品」と書いて販売してもいいよ!
と書いてあります。
その分、製造メーカーの信頼度も気になりますね。
国が定めた成分は下記の物です。
- n-3系脂肪酸
- 亜鉛
- カリウム
- カルシウム
- 鉄
- 銅
- マグネシウム
- ナイアシン
- パントテン酸
- ビオチン
- ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、K
- 葉酸
栄養機能食品はビタミンのサプリメントに多いですね!
特定保健用食品
特定保健用食品(トクホ)とは
からだの生理学的機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み
その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の
表示(保健の用途の表示)をする食品です。厚生労働省HP
特定保健用食品として販売するには
食品ごとに食品の有効性や安全性について国の審査を受け
許可を得なければなりません。(健康増進法第43条第1項)
簡単に言うと
国が定める成分とかではなく
各メーカーが出したい成分のエビデンス(科学的根拠)を
商品ごとに申請すれば「特定保健用食品」と書いて販売してもいいよ!
と言うことです。
各商品ごとなので同一成分、含有量でも品名が違ったら別々に申請することになります。
このマークが目印です↓
※条件付き特定保健用食品とは
特定保健用食品の審査で要求している有効性の科学的根拠のレベルには届かないものの、
一定の有効性が確認される食品を、限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件とし
て許可する特定保健用食品
申請を出して販売するので信頼度が高いですね!
【余談】
色々と健康食品の分類あるけどトクホが一番よさげだから
メーカーは全部トクホで出せばいいのに?
と思いませんでしたか?
メーカーから聞いた話ですが申請までに相当な金額が必要らしいです。
なので次に紹介する機能性表示食品の方が多かったりします。
※あくまでもメーカーさんから聞いた話なので
本当かどうかはメーカーさんしか分かりません・・・
機能性表示食品
機能性表示食品とは
国の定めるルールに基づき
事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を
販売前に消費者庁長官に届け出れば
機能性を表示することができる制度です。厚生労働省HP
特定保健用食品(トクホ)と異なり、国が審査を行いませんので
事業者は自らの責任において
科学的根拠を基に適正な表示を行う必要があります。
簡単に言うと
国が定める成分とかではなく
各メーカーが出したい成分のエビデンス(科学的根拠)を
消費者庁長官に届けを出せば「機能性表示食品」と書いてもいいよ!
と言うことです。
その分、製造メーカーの信頼度も気になりますね。
「機能性表示食品の届出情報検索」というのがありますので確認にお使いください。
成分が指定されてないから
かなり自由が利く制度ですねー
お茶、ヨーグルト、サプリメントによくあります!
特別用途食品
特別用途食品(特定保健用食品を除く)とは
乳児の発育や、妊産婦、授乳婦、えん下困難者、病者などの
健康の保持・回復などに適するという特別の用途について表示を行う食品です。厚生労働省HP
特別用途食品として食品を販売するには
その表示について消費者庁長官の許可を受けなければなりません
(健康増進法第43条第1項)。
また、表示の許可に当たっては、規格又は要件への適合性について
国の審査を受ける必要があります。
簡単に言うと
国が指定した用途に対して申請、審査すれば
「特別用途食品」として販売してもいいよ!
と言っています。
成分については言及していません。
このマークが目印です↓
ベビー用ミルクとか
有名なのだと「OS-1」とかありますね!
医薬品
医薬品の定義と種類
医薬品とは
1 日本薬局方に収められている物
2 人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具、歯科材料、医療用品および衛生用品でないもの(医薬部外品を除く。)
3 人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって機械器具、歯科材料、医療用品および衛生用品でないもの(医薬部外品および化粧品を除く。)
医薬品医療機器等法
簡単に言うと
「日本薬局方」という本に収められてるもので
人、動物の病気に影響を与えるもの。
(生命関連物質)
人体に使う医薬品は大きく分けて2つあります。
- 処方箋薬(医療用医薬品)
- 市販薬 (OTC医薬品)
さらに市販薬は5種類に分かれます。
5種類に分かれているのをリスク区分と言います。
リスク(副作用)の高さは下記の通りです。
要指導>第1類>指定第2類>第2類>第3類
処方箋医薬品
病院や診療所などで、医師が診断した上で発行する処方箋に基づいて
薬剤師が調剤して渡される薬です。
※処方箋とは医師が患者に対して治療で必要と判断した薬が書かれた紙です。
それを薬局に出すことでお薬が買えます。
要指導医薬品・第1類医薬品
要指導医薬品とは
購入の際に処方箋はいりませんが
薬剤師が対面で情報提供や指導などをすることが義務付けられ
インターネット販売が出来ない医薬品。
ドラッグストア、薬局で買えます。
第1類医薬品とは
購入の際に処方箋はいりませんが
薬剤師が対面で情報提供や指導などをすることが義務付けられ
インターネット販売が出来る医薬品。
ドラッグストア、薬局で買えます
指定第2類医薬品・第2類医薬品・第3類医薬品
指定第2類、第2類、第3類医薬品とは
購入の際に処方箋はいりませんが
薬剤師または登録販売者が居るお店で買えるものです。
インターネット販売が出来る医薬品。
ドラッグストア、薬局で買えます。
登録販売者が居ればコンビニやスーパーなどで医薬品が買えます。
医薬部外品
医薬部外品の定義と種類
医薬部外品とは
人体に対する作用が緩和なものをいう。
医薬品医療機器等法
一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であって機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
二 人又は動物の保護のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用されるも物を除く。)であって機械器具でないもの
三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの
簡単に言うと
人体に対する作用が弱く、器具ではないもので
国が指定したものが医薬部外品となる。
医薬部外品として指定されているのが下記の物です。
- 生理処理用品
- 染毛剤
- パーマネント・ウェーブ用剤
- 薬用歯みがき類
- 健胃清涼剤、ビタミン剤
- 清浄綿
- あせも・ただれ用剤
- うおのめ・たこ用剤
- かさつき・あれ用剤
- カルシウム剤
- のど清涼剤
- ビタミン含有保健剤
- ひび・あかぎれ用剤
- 浴用剤
以前まで医薬品だったのに医薬部外品になったのもありますね。
例えば新ビオフェルミンなどがそうです。
【ちょっとした余談】
化粧品の表記で「薬用」と書いてあるのがあります。
つまり化粧品は「化粧品」「薬用化粧品」の2種類あるということです。
この薬用化粧品は医薬部外品とイコールです。
逆の言い方をすると「薬用」と書けるのは医薬部外品になります。
まとめ
人体に対する影響が強いのを表すこのようになります。
医薬品>医薬部外品>特定健康用食品>機能性表示食品>栄養機能食品>健康食品
ここで重要なのは
健康食品は
「食品だからいくら飲んでも大丈夫!」
という考えは間違いだということです。
イメージしやすいように
「トマト100個一気に食べたら体調悪くなる」
あくまでもイメージですが分かりますでしょうか?
いくら美味しくて健康にいい物でも
摂取しすぎは体に影響を及ぼします。
健康食品の多くは有効成分を抽出して製品にしているので
摂りすぎると例のようにトマト100個とかの成分量を
摂ることになります。
医薬品も健康食品も用法用量を守って服用するのが
基本となりますので摂り過ぎには注意しましょう!
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