ドラッグストア含めた小売業では必ず「ロス」が発生します。
最近ではTVでも良くロスの話をしています。
皆さんが想像してパッと思いつくのは食品のロスとかでしょうか?
ロスを減らせば利益が改善できます。
(資源の無駄も省けます)
ロスは従業員の給料にも響いてきます。
しっかり管理をしていきたいですね。
ここでは店長を含めた従業員が出来ることを
お話していきます。
(大がかりな防犯システムなどの話はしません)
この記事で分かることは
- どんなロスがあるか?
- 万引き・窃盗の実態
- 対策は?
結論
ロス対策すると顧客満足度が上がる店になる
ドラッグストア元店長の目線でお話していきます。
ドラッグストア勤務25年
店長として20年勤めた登録販売者の
けんじがお伝えします。
ロスとは
小売業は商品を仕入れてそれを販売することで利益を出します。
しかし販売する商品が何らかの理由でなくなってしまう場合があります。
それがロスです。
ロスを減らすことが利益改善に大きく関わります。
経常利益が改善されれば賞与にも大きく関わってきます。
1店舗が1万円改善できればHDのような2000店以上あるグループでは
2000万円以上利益が出ます。
よくロス率と言うものが使われますが
ロス率とはロス金額を売上で割ったものです。
ロス金額÷売上高×100=ロス率
棚卸でロス率が分かりますが目安として0.1~1%を目指します。
(企業によって差はあります)
どんなロスがあるか
ロスと言ってもその種類は多く1つ1つ潰していくしかありません。
- 値引き、見切りロス
- 廃棄ロス
- 万引き・窃盗
- 内引き
- 棚卸カウントミス
- 経理上ミス
商品が破損してもロスですが金額が上記の物より軽微なので除外します。
値引き、見切りロス
広告商品で集客のため赤字を出している商品や
食品等の賞味期限間近の見切り商品のロスがあります。
定期的に行う商品入れ替え棚落ち商品も値引きロスになります。
廃棄ロス
見切りの商品が売り切れない場合は廃棄処理をします。
その為利益はゼロになります。
なるべく見切りは売り切らなければいけません。
万引き・窃盗
ロスの中では一番金額が多くなります。
万引きは個人による犯行が多いですが、
最近では窃盗団が多発してドラッグストアを荒らしています。
人数は2~4人 (仲間か分かりませんが数グループあります)
メンバーを変えて来店したりなど組織立っています。
商品が無くなるロスと、警察などを呼んで現場検証する時間的なロスがあり
万引、窃盗は一番厄介なものになります。
内引き
内引きとは従業員が店の商品を万引きすることです。
少し古いデータですが全国万引犯罪防止機構が出した
2011年万引きの調査報告書では全体ロスの6.0%が
従業員による内引きという報告が上がっています。
(万引きは45.3%でした)
当然、内引きをした従業員は警察に引き渡し、解雇になりますが
店舗としては人員的ロスで大ダメージがあります。
棚卸カウントミス
棚卸は店内、倉庫等の商品すべてを数えます。
従業員が総出で数える場合と業者が数える場合があります。
扱っている商品が医薬品や化粧品なのでカウントのミスをすると
金額が大きく変わります。
経理上ミス
伝票計算がある会社はその計上ミスで金額が変わります。
他には商品無いのに伝票だけあるとか、その逆で
伝票無しで商品があるなどもあります。
ただ頻繁に起こることではないです。
殆どの場合、その時気がついて対処できます。
万引き・窃盗の実態
万引き
「令和2年版 犯罪白書」のデータを見ると
年々窃盗盗難が減ってきているが高齢者は横ばいとなっているので
高齢者比率が男性で22%、女性で33.7%と上昇し続けています。
※すべての犯罪の統計です
犯罪の中身を見てみると高齢者の万引きが多いことが分かります。
高齢者の万引きは以前から問題視されていました。
原因として挙げられるのが年金暮らしの生活の困窮、社会からの孤立など。
社会的問題でもありますね。
窃盗団
全国で発生してドラッグストア中心に被害が広がっています。
県警国際捜査課と泉署は23日、窃盗の疑いで、いずれもベトナム国籍で無職の男(24)=埼玉県所沢市=ら男4人を逮捕した。神奈川、千葉、埼玉県などのドラッグストアで計約50件(被害総額約850万円)の余罪があるとみて調べている。
神奈川新聞
上記のようなニュースは良く見ます。
最近ではコロナの影響か外国人が減ってきて、日本人の窃盗が目立つようになってきました。
対策
小さなロスからコツコツと潰していきます。
どれか1つやれば大きく変わるというものではありません。
値引き、見切りロス
・食品見切りロス
仕入れの段階で発注の精度を上げるのが基本です。
具体的には商品ごとの最大在庫数をプライスカード等に書いておくことや
賞味期限が異なる発注をしないなどがあります。
※(例)牛乳9/11、12、13日など日付が3日に渡ってしまう事
・棚落ち品の値引きロス
棚替え前に棚落ち品を赤字にならない程度に売価を変更します。
安易に20%、50%で販売を続けるとそれだけ赤字が増えます。
※会社によりすぐに廃棄するところもあります。
・特売商品赤字ロス
目玉商品の隣に小単価の粗利率が高いものを置きます。
例えば歯ブラシ、チョコやガム、電池など
廃棄ロス
値引き・見切りロスの精度を上げると廃棄ロスは必然的に減ります。
食品などは廃棄になる前に見切りをしないといけません。
天候、客足で見切りの時間を早めないと廃棄の時間まで商品が売れ残ってしまいます。
万引き・窃盗
基本的なことをしていくことで万引きを「させない」状態を作ります。
- 声かけ・挨拶
- 前だし・発注
- クリンネス
・声かけ・挨拶
ドラッグストアには高齢の方が多くいらっしゃいます。
笑顔で「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と挨拶をして
何か探しているそぶりを見せたら「何かお探しですか?」と
声かけをしましょう。
明るい店づくりと防犯を兼ね備えた最も簡単で効果的な方法です。
顧客満足度も上がります。
下記にリンクも貼っていますが声掛けは警察も推奨している方法です。
・前だし・発注
商品の異常にいち早く気付くために毎日の商品管理は絶対です。
整理された売場では窃盗された際発見が早いです。
万引き犯も整理された店よりも雑多な店の方がやりやすいです。
・クリンネス
汚い店内は管理が出来ていない店と思われるので万引きしやすい環境になってしまいます。
店頭、店内、駐車場の管理は顧客満足度にも繋がります。
実際に捕まった窃盗団の供述では声掛けをしてくるのが
一番やりにくかったと言っています。
内引き
従業員を疑いたくないのは誰もが思うことです。
しかし管理をしていないと発生してしてしまいます。
- 個人ロッカーの整理
- 手荷物検査
- 休憩室の整理
- サンプル品の管理
- 従業員への教育(内引きは犯罪)
管理者は内引きをさせない環境と文化を作っていかなければいけません。
棚卸カウントミス
棚卸後データーを見てロスを潰していく作業が主になりますが
棚卸をする前から整理整頓することでロスを少しでも減らしていかなければなりません。
- 空箱の撤去(間違ってカウントされてしまう)
- 二重陳列をしない(違う商品が後ろにあること)
棚卸をスムーズに行えるよう日頃から倉庫内、ストック棚の整理と
売場の陳列を整理しておきたいですね。
良くあるのが通常商品と企画商品でJANコードが違って
棚卸が狂うことがあります。
日ごろからの品出しする人への教育が大事になってきます。
経理上ミス
会社によって違うので何とも言えませんが、納品物と伝票が合っているか
いわゆる検品作業はしないといけません。
納品ミス、誤送などは起こりえます。
他店の商品が来ていたり、他店の伝票だった時がありました。
他の企業の伝票ということもありましたので確認はした方がいいです。
まとめ
ロス対策を見てみると
- 店舗管理
- 商品管理
- 従業員教育
をしっかり行うことでロスのリスクを軽減できることが分かったと思います。
これは顧客満足度の向上にも繋がるますので
今からでも取り掛かっていくことをおすすめします。
ロス管理に興味がある方はこちらの本を読まれると
良いと思います。
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