漢方薬の裏面を見るとなんやらいっぱい生薬の名前が・・・
いったいどんな物が入っているか気になった方もいるのではないでしょうか?
こちらでは生薬ごとに簡単ですが解説をしていきます!
すべてを網羅しているわけではありませんが
ドラッグストアで市販されている漢方薬に入っている
生薬は大体記載されています。
該当の生薬が入っている漢方薬も記載しています。
(ドラッグストアにありそうなものだけ記載しています)
【 】は下記の順番に薬性を表しています。
- 熱(温)、寒(涼)
- 補瀉
- 燥潤
- 升降
- 散収
簡単ですが生薬の証を書いておきます。
温(熱)性薬=からだを温め,新陳代謝を盛んにする薬
寒(涼)性薬=炎症を去り,興奮をしずめる薬
補性薬=からだを補い強化する薬
寫性薬=からだに入り込み,または蓄積した余計なものを
体外に駆逐する薬
燥性薬=体内の水分を排泄する薬
潤性薬一体内の水分を保留する薬
升性薬=興奮・発汗・止瀉・下部出血の防止など
作用が上に向いて働く薬
降性薬=汗・鎮吐・鎮咳・鎮静・上部出血の防止・瀉下・利尿など
作用が下に向いて働く薬
散性薬=発散・発汗作用のある薬(作用が外に向って働く薬)
収性薬=収斂・止汗・止瀉などの作用のある薬(作用が内に向かって働く薬)
※地黄は「じおう」ではなく「ぢおう」と表記しています。
地骨皮も同じく「ぢこっぴ」と表記されています。
他にも違うものがあります。
※「漢方診療ハンドブック」を元に編集しています。
漢方製剤については下記を参照してください。
- 阿膠(あきょう)
- 威霊仙(いれいせん)
- 茵蔯蒿(いんちんこう)
- 茴香(ういきょう)
- 烏薬(うやく)
- 延胡索(えんごさく)
- 黄者(おうぎ)
- 黄芩(おうごん)
- 黄柏(おうばく)
- 黄連(おうれん)
- 遠志(おんじ)
- 艾葉(がいよう)
- 何首鳥(かしゅう)
- 葛根(かっこん)
- 滑石(かっせき)
- 呂根(かろん) または括樓根(かろこん)
- 瓜呂仁(かろにん)または括樓仁(かろにん)
- 乾姜(かんきょう)
- 甘草(かんぞう)
- 桔梗(ききょう)
- 菊花(きくか)
- 枳実(きじつ)
- 羌活(きょうかつ)
- 杏仁(きょぅにん)
- 苦参(くじん)
- 荊芥(いがい)
- 桂皮(けいひ)または桂枝(けいし)
- 膠飴(こうい)
- 紅花(こうか)
- 香附子(こうぶし)
- 粳米(こうべい)
- 厚朴(こうぽく)
- 牛膝(ごしつ)
- 呉茱萸(ごしゅゆ)
- 牛蒡子(ごぼうし)
- 胡麻(ごま)⋯
- 五味子(ごみし)
- 柴胡(さいこ)
- 細辛(さいしん)
- 山査子(さんさし・さんざし)
- 山梔子(さんしし)
- 山茱萸(さんしゅゆ)
- 酸棗仁(さんそうにん)
- 山薬(さんやく)
- 山椒(さんしょう)または蜀椒(しょくしょう)
- 紫蘇葉(しそよう)または蘇葉(そよう)
- 葵梨子(しつりし)
- 芍薬(しゃくやく)
- 車前子(しゃぜんし)
- 縮砂(しゅくしゃ)
- 生姜(しょうきょう)
- 小麦(しょうばく)
- 升麻(しょうま)
- 辛夷(しんい)
- 神麴(しんきく)または神曲(しんぎょく)
- 石膏(せっこう)
- 川芎(せんきゅう)
- 前胡(ぜんこ)
- 川骨(せんこつ)
- 蟬退(せんたい)
- 蒼朮(そうじゅつ)
- 桑白皮(そうはくひ)
- 蘇木(そぼく)
- 大黄(だいおう)
- 大棗(たいそう)
- 沢瀉(たくしゃ)
- 地黄(ぢおう)
- 竹節(ちくじょ)
- 地骨皮(ぢこっぴ・じこっぴ)
- 知母(ちも)
- 丁香(ちょうこう)または丁子(ちょうじ)
- 釣藤(ちょうとう)または釣藤鈎(ちょうとうこう)
- 猪苓(ちょれい)
- 陳皮(ちんび)
- 天南星(てんなんしょう)
- 天麻(てんま)
- 天門冬(てんもんどう)
- 冬瓜子(とうかし・とうがし)
- 当帰(とうき)
- 桃仁(とうにん)
- 杜仲(とちゅう)
- 独活(どっかつ・どくかつ)
- 人参(にんじん)
- 忍冬(にんどう)
- 貝母(ばいも)
- 麦芽(ばくが)
- 麦門冬(ばくもんどう)
- 薄荷(はっか)
- 半夏(はんげ)
- 百合(ひゃくどう)
- 白芷(びゃくし)
- 白朮(びゃくじゅっ)
- 枇杷葉(びわよう)
- 檳榔子(びんろうし)
- 茯苓(ぶくりょう)
- 附子(ぶし)
- 防已(ぼうい)
- 芒硝(ぼうしょう)
- 防風(ぼうふう)
- 横漱(ぼくそく)
- 牡丹皮(ぼたんび)
- 牡蛎(ぼれい)
- 麻黄(まおう)
- 麻子仁(ましにん)
- 木香(もっこう)
- 木通(もくつう)
- 益母草(やくもそう)
- 慧苡仁(よくいにん)
- 竜眼肉(りゅうがんにく) または竜眼(りゅうがん)
- 竜骨(りゅうこつ)
- 竜胆(りゅうたん)
- 良姜(りょうきょう)
- 連翹(れんぎょう)
- 蓮肉(れんにく)または蓮子(れんし)
阿膠(あきょう)
【平・補・潤・降・収】
ロバ(ウマの仲間)の毛を去った皮を水で煮て
煮こごりを作り,精製したもの。
但し市場品には種々の動物の皮・骨・腱などから作ったものが多い。
味は甘く,止血作用が強い。また滋養・鎮静作用がある。
・温経湯(うんけいとう)
・猪苓湯(ちょれいとう)
威霊仙(いれいせん)
【溫・瀉・燥・降・散】
キンポウゲ科テッセンの根。
味は苦く,利尿・鎮痛作用があり
偏頭痛・顔面神経麻痺・痛風などの要薬とされる。
・疎経活血湯(そけいかっけつとう)
・二朮湯(にじゅつとう)
茵蔯蒿(いんちんこう)
【寒・瀉・燥・降・散】
キク科カヮラョモギの若葉または果穂。
味は苦く,利胆・利尿・消炎作用があり
黄疽の治療にはなくてはならない生薬。
・茵陳蒿湯(いんちんこうとう)
・茵陳五苓散(いんちんごりんさん)
茴香(ういきょう)
【温・補・燥・中・散】
セリ科ウイキョウの果実。
味は甘く,芳香性があり,健胃・整腸・駆風作用がある。
・安中散(あんちゅうさん)
烏薬(うやく)
【温・補・燥・升・散】
クスノキ科テンダイウヤクの根。
味は辛く,興奮・理気・健胃・鎮痛作用がある。
・烏薬順気散(うやくじゅんきさん)
延胡索(えんごさく)
【温·中・燥・平・散】
ケシ科植物の塊茎。
味は辛く,月経調整作用と鎮痛作用がある。
・安中散(あんちゅうさん)
黄者(おうぎ)
【温・補・中・升・中】
マメ科キバナオウギまたは同属植物の根。
未は甘く,強壮・滋養作用があり
皮膚の栄養を高める作用があり,
盗汗・汗かきにはなくてはならない生薬とさている。
・黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)
・十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)
・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
黄芩(おうごん)
【寒・瀉・燥・降・収】
シソ科コガネバナまたは近縁植物の根。
味は苦く,解熱・消炎・健胃作用がある。柴胡と組んで胸脇苦満に,
黄連と組んで心下痞(心下部 <みぞおち> の支え)に用いられる。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
・柴朴湯(さいぼくとう)
・柴苓湯(しれいとう)
・小柴胡湯(しょうさいことう)
黄柏(おうばく)
【寒・瀉・燥・降・収】
ミカン科キハダまたは同属植物の樹皮。
“お百草”といわれる。
百草丸は黄柏が入っているのでこの名前になっています。
味は苦く,解熱・消炎・健胃作用がある。
ペルペリンを含み,色は黄色い。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
・七物降下湯(しちもつこうかとう)
・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
黄連(おうれん)
【寒・瀉・燥・降・収】
キンポウゲ科オウレンまたは近縁植物の根茎。
味は苦く,解熱・消炎・健胃作用がある。
トリコモナスに対する抗生作用が知られています。
ベルベリンを含み、色は黄色い。
・黄連湯(おうれんとう)
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
・三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
遠志(おんじ)
【温・補・燥・降・散】
ヒメハギ科イトヒメハギの根。
味は辛く,鎮静・強壮・去痰作用がある。
・加味帰脾湯(かみきひとう)
・帰脾湯(きひとう)
・人参養栄湯(にんじんようえいとう)
艾葉(がいよう)
【温・瀉・燥・平・中】
キク科ヨモギまたはヤマヨモギの若葉。
味は苦く,止血作用と月経調整作用がある。
・芎帰膠艾湯(きょうききょうがいとう)
何首鳥(かしゅう)
【温・補・平・升・収】
タデ科ツルドクダミの塊状根。
味は苦く,滋養・強壮作用があり,
特に皮膚の栄養を高めると云われる。
・当帰飲子(とうきいんし)
葛根(かっこん)
【平・補・潤・升・散】
マメ科クズまたは同属植物の根。
クズ湯のクズであるが,市販のクズ粉は「吉野葛」として
売っているものを除いて,馬鈴薯澱粉である。
味は甘く,発汗・止渇・鎮痛作用があり,
項背部(うなじと背中)の凝り作用が強い。
・葛根湯(かっこんとう)
・葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
・参蘇飲(じんそいん)
滑石(かっせき)
【涼・中・燥・降・散】
主として含水珪酸アルミニウムから成る天然の粘土鉱物。
甘く,利尿・消炎作用があり,膀胱炎・尿道炎に用いる。
・五淋散(ごりんさん)
・猪苓湯(ちょれいとう)
・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
呂根(かろん) または括樓根(かろこん)
【寒・瀉・潤・降・収】
ウリ科キカラスウリまたは近縁種の根。
カラスウリは代用になない。
湿疹などに用いる天花粉は瓜呂根からとった澱粉でる。
味は甘く,消炎作用と潤す作用がある。
・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
・柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)
瓜呂仁(かろにん)または括樓仁(かろにん)
【寒・中・潤・降・散】
ウリ科キカラスウリまたは近縁種の種子。
味は苦く,潤性で,鎮咳・去痰作用がある。
・柴陥湯(さいかんとう)
乾姜(かんきょう)
【温・補・燥・升・散】
ショウガ科ショウガの根茎の皮を去り,蒸して乾燥したもの。
味は辛く,興奮・強壮・健胃作用がある。
生姜が主として発散作用と健胃作用の目的で用いられるのに反して,
乾姜は主として補作用の目的で用いられる。
・小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
・大建中湯(だいけんちゅうとう)
・半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
・苓姜朮甘湯(りゅうきょうじゅつかんとう)
甘草(かんぞう)
【平・平・潤·平・収】
マメ科カンゾウまたは近縁植物の根。
甘味が強いので甘草と云うのであろう。
緩和・止渇作用があり,急性の痛みや痙攣を治す作用がある。
副作用防止の目的で広く漢方方剤中に入れられている。
グリチルリチンその他の成分が知られており,
その中にはステロイド様作用を呈するものがあって,
低カリウム欠症,ナトリウム・体液の貯溜,浮腫を生ずることがあるとされるが,
元来甘草はむしろ副作用防止の目的で用いられてきたものであり,
甘草が入った方剤だからと云って特別こわがる必要はない。
※グリチルリチン含有製剤との併用は気を付ける
・葛根湯(かっこんとう)
・芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
・小柴胡湯(しょうさいことう)
桔梗(ききょう)
【平・瀉・平・升・散】
キキュウ科キキョウの根。
味は辛く,去痰・排膿作用がある。
・桔梗湯(ききょうとう)
・十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
菊花(きくか)
【涼・瀉・燥・降・散】
キク科キクおよびその変種の頭状花。
味は苦く,解熱・消炎・解毒・発散作用がある。
主として体の上部の炎症によく,特に眼疾によいとされている。
・釣藤散(ちょうとうさん)
枳実(きじつ)
【寒・瀉・燥・降・散】
ミカン科ダイダイまたは近縁植物の未熟果。
味は苦く,芳香性で,瀉下・健胃作用があり,
心下・季肋下の張っているのをくだす作用があるとされている。
※枳実のやや成熟したものを枳殻(きこく)と云って区別
するが,薬性・薬効など,枳実と著しい差はないようである。
・四逆散(しぎゃくさん)
・大柴胡湯(だいさいことう)
羌活(きょうかつ)
【温・瀉・燥・升・散】
セリ科植物の根茎。
味は辛く,発汗・鎮痛作用がある。
・疎経活血湯(そけいかっけつとう)
杏仁(きょぅにん)
【温・瀉・潤・降・散】
バラ科アンズの種子。
味は苦く,辛味を帯び,鎮咳・去痰作用がある。
アミグダリンが主成分。潤腸作用もある。
・五虎湯(ごことう)
・麻黄湯(まおうとう)
・麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
苦参(くじん)
【寒・瀉・燥・升・平】
マメ科クララまたは同属植物の根。
味は苦く,解熱・消炎・解毒・殺虫作用がある。
内用とするほか
陰部のただれ・潰瘍・皮膚搔痒症・水虫・タムシなどに外用する。
・三物黄芩湯(さんもつおうごんとう)
・消風散(しょうふうさん)
荊芥(いがい)
【温・瀉・燥・降・散】
シソ科ケイガイの花穂および茎葉。
味は辛く,発汗・発散作用があり,皮膚疾患に常用される。
・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
・当帰飲子(とうきいんし)
・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
桂皮(けいひ)または桂枝(けいし)
【温・補・燥・中・散】
クスノキ科ケイ(トンキンニッケイ)または同属植物の幹または枝の皮。
味は辛く,芳香性で,発汗・発散作用と健胃作用がある。
また、のぼせを治す作用がある。
・桂枝湯(けいしとう)
・桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
・桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
・麻黄湯(まおうとう)
膠飴(こうい)
【温・補・潤・升・収】
米・麦などの澱粉に麦芽を加えて糖化したもの。
味は甘く,強壮・緩和作用がある。
・小建中湯(しょうけんちゅうとう)
・大建中湯(だいけんちゅうとう)
・黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)
紅花(こうか)
【温・瀉・潤・降・散】
キク科ベニバナの花弁。
味は辛く, 古来植物染料・ロ紅などとして用いられた。
月経調整・活血・鎮痛作用がある。
・通導散(つうどうさん)
香附子(こうぶし)
【平・補・燥・降・散】
カヤツリグサ科ハマスゲの根茎。
味は辛く,芳香性で,健胃・鎮痛・月経調整作用がある。
・香蘇散(こうそさん)
・女神散(にょうしんさん)
粳米(こうべい)
【涼・補・潤・降・散】
イネ科イネの果実。すなわち玄米である。
味は甘く,滋養・緩和作用がある。
・麦門冬湯(ばくもんどうとう)
・白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
厚朴(こうぽく)
【温・瀉・燥・降・散】
モクレン科ホウノキまたは近縁種の幹・枝の皮。
味は苦く,健胃・鎮吐作用がある。
胸腹部の膨満を下に押し下げるような作用がある。
・柴朴湯(さいぼくとう)
・大承気湯(だいじょうきとう)
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
・平胃散(へいいさん)
牛膝(ごしつ)
【寒・中・燥・降・散】
ヒュ科イノコズチまたは近縁種の根。
味は苦く,月経調整・活血・利尿作用がある。
・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
・疎経活血湯(そけいかっけつとう)
呉茱萸(ごしゅゆ)
【熱・中・燥・降・散】
ミカン科ゴシュュまたは近縁種の果実。
味は苦く,芳香性で,健胃・鎮痛・鎮吐作用がある。
温める作用と体内水分を追い出す作用が強く
足冷と生つばを伴う頭痛によく効くが
反面,炎症のある急性胃炎にはよくない。
・温経湯(うんけいとう)
・呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
牛蒡子(ごぼうし)
【寒・瀉・潤・降・散】
キク科ゴボウの果実。食用にするゴボウの果実。
味は辛く,去痰・排膿作用がある。
咽喉の腫脹・疼痛にもよい。
・柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)
・消風散(しょうふうさん)
胡麻(ごま)⋯
【平・補・潤・降・散】
ゴマ科ゴマの種子。食用にするゴマである。
甘く,滋養・強壮作用がある。ことに髪を黒くすると云われる。
また潤燥・通便作用がある。
・消風散(しょうふうさん)
・紫雲膏(しうんこう)
五味子(ごみし)
【温・補・潤・降・収】
モクレン科チョウセンゴミシの果実。
鎮咳・平喘・止汗・強壮作用がある。
・小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
・清肺湯(せいはいとう)
・人参養栄湯(にんじんようえいとう)
柴胡(さいこ)
【寒・瀉・燥・升・散】
セリ科ミシマサイコまたは同属植物の根。
味は苦く,解熱・消炎作用がある。
胸脇苦満を治す要薬で,黄苓とペアで用いられることが多い。
・柴朴湯(さいぼくとう)
・柴苓湯(しれいとう)
・小柴胡湯(しょうさいことう)
・大柴胡湯(だいさいことう)
細辛(さいしん)
【温・瀉・燥・降・散】
ウマノスズクサ科ウスバサイシンまたは近縁種の根。
味は辛く,鎮痛・麻酔・平喘作用がある。
・小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
・麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
山査子(さんさし・さんざし)
【温・瀉・潤・平・中】
バラ科サンザシの果実。
味は甘く,酸味があり,健胃・消化・止瀉・止渇作用がある。
・啓脾湯(けいひとう)
山梔子(さんしし)
【寒・瀉・燥・降・収】
アカネ科クチナシまたは近縁種の果実。
味は苦く,解熱・消炎・利胆・止血作用があり,黄疽の要薬である。
・茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
山茱萸(さんしゅゆ)
【温・補・潤・降・収】
ミズキ科サンシュユの果肉。
酸味があり,補血・強壮・止汗・止尿作用がある。
成分として没食子酸・リンゴ酸・酒石酸などが知られている。
・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
・六味丸(ろくみがん)
酸棗仁(さんそうにん)
【平・補・潤・降・収】
クロウメモドキ科サネブトナッメの種子。
大棗の仲間で酸味があり,鎮静・催眠作用がある。
・加味帰脾湯(かみきひとう)
・帰脾湯(きひとう)
・酸棗仁湯(さんようにんとう)
山薬(さんやく)
【平・補・潤・升・収】
ヤマノイモ科ヤマノイモまたはナガイモの根茎。
食用にするものと同じである。
味は甘く,滋養・強壮・止瀉作用がある。
糖尿病を治す作用があると云われている。
・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
・六味丸(ろくみがん)
山椒(さんしょう)または蜀椒(しょくしょう)
【熱・補・燥・降・散】
ミカン科サンショウまたは同属植物の果実。
味は辛く,芳香性で,健胃・鎮痛・殺虫作用がある。
・大建中湯(だいけんちゅうとう)
・当帰湯(とうきとう)
紫蘇葉(しそよう)または蘇葉(そよう)
【温・瀉・乾・降・散】
シソ科シソまたは近縁種の葉。
味は辛く,発汗・解熱・解毒・鎮咳作用がある。
魚・蟹の中毒によいとされる。
・香蘇散(こうそさん)
・柴朴湯(さいぼくとう)
・参蘇飲(じんそいん)
葵梨子(しつりし)
【温・中・平・中・散】
ハマビシ科ハマビシの果実。
味は甘く,強壮・浄血作用があり
療血性皮膚疾患の掻痒を治すと考えられる。
・当帰飲子(とうきいんし)
芍薬(しゃくやく)
【涼・補・潤・中・収】
キンポウゲ科シャクヤクまたは近縁種の根。
味は僅かに苦く,鎮痛・鎮痙作用がある。
有効成分としてモノテルペン配糖体のペオニフロリンが分離されている。
・桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
・芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
・小建中湯(しょうけんちゅうとう)
車前子(しゃぜんし)
【寒・瀉・燥・降・散】
オオバコ科オオバコまたは近縁種の種子。
味は甘く,利尿・鎮咳作用がある。
・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
・五淋散(ごりんさん)
・清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
縮砂(しゅくしゃ)
【温・補・燥・中・散】
ショウガ科植物の種子塊。
味は辛く,芳香性で,健胃・整腸・駆風作用がある。
・安中散(あんちゅうさん)
生姜(しょうきょう)
【温・補・燥・升・散】
ショウガ科ショウガの根茎。
味は辛く,芳香性で,発散・健胃・鎮吐作用がある。
胸がつかえて吐いたり,げっぷが出たりするのを治す要薬である。
・胃苓湯(いれいとう)
・葛根湯(かっこんとう)
・小柴胡湯(しょうさいことう)
小麦(しょうばく)
【涼・補・潤・降・収】
イネ科コムギの種子。食用とする小麦である。
味は僅かに甘く,鎮静・安眠作用がある。
・甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
升麻(しょうま)
【寒・瀉・燥・升・散】
キンポウゲ科サラシナショウマまたは近縁種の根茎。
味は僅かに苦く,発汗・解毒作用があり
麻疹などで発疹の出ないのを出させる作用がある。
咽喉腫痛にもよく,また痔疾を治す作用もある。
・乙字湯(おつじとう)
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
辛夷(しんい)
【温・瀉・燥・升・散】
モクレン科コブシまたは同属植物の蕾。
味は辛く,芳香性で,発散・排膿作用があり
頭痛・頭重を伴う鼻炎・蓄膿症によい。
・葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
・辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
神麴(しんきく)または神曲(しんぎょく)
【温・平・燥・平・散】
小麦粉・小豆粉・杏仁泥など6種の品を練り合わせて発酵さたもの。
味は苦く,健胃・消化作用がある。
石膏(せっこう)
【寒・瀉・潤・降・散】
天然産含水硫酸カルシウム。
味は甘味と辛味を帯び,解熱・消炎・止渇作用がある。
熱を取る作用が強く,寒性薬の代表であるから
寒証の者に用いてはならない。
・小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうききょうせっこう)
・白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
・麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
川芎(せんきゅう)
【温・補・潤・升・散】
セリ科センキュウまたは同属植物の根茎。
味は辛く,月経調整・活血・鎮痛作用がある。
・葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
・十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
前胡(ぜんこ)
【寒・瀉・潤・降・散】
セリ科ノダケまたは近縁植物の根。
味は苦く,鎮咳・去痰・解熱作用がある。
・参蘇飲(じんそいん)
川骨(せんこつ)
【寒・補・収(他は不明)】
スイレン科コウホネの根茎。
味は甘く,止血・健胃・強壮作用がある。
・治打撲一方(ヂダボクイッポウ)
蟬退(せんたい)
【寒・瀉・平・平・散】
セミ科クマゼミのぬけがら。
味は鹹く(塩辛いという意味),解熱・鎮痙作用がある。
小児の夜啼症やひきつけによく
また皮膚の痒み,発疹の出ないのを出させるのによい。
・消風散(しょうふうさん)
蒼朮(そうじゅつ)
【温・瀉・燥・升・散】
キク科ホソバオケラまたはその変種の根茎。
味は僅かに苦く,発散・健胃・利尿作用がある。
・越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
・桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
・六君子湯(りっくんしとう)
桑白皮(そうはくひ)
【寒・瀉・燥・降・散】
クワ科クワの根皮。
味は甘く,去痰・消炎・利尿作用がある。
主として鎮咳・去痰薬として用いられる。
・五虎湯(ごことう)
・清肺湯(せいはいとう)
蘇木(そぼく)
【平・瀉・平・降・中】
マメ科スオウの木部。熱帯産の高木である。
味は甘く,鹹味があり,血・駆療血・鎮痛作用がある。
・通導散(つうどうさん)
大黄(だいおう)
【寒・瀉・燥・降・収】
タデ科ダイオウまたは同属植物の根茎。
味は苦く,瀉下・利胆・消炎・健胃作用がある。
センノサイドAが得られこれが瀉下効果の本体と云われる。
・大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
・桃核承気湯(とうきじょうきとう)
・大柴胡湯(だいさいことう)
大棗(たいそう)
【温・補・潤・降・収】
クロウメモドキ科ナツメの果実。
味は甘く,強壮・緩和・鎮静作用がある。
しばしば生姜とペアで方剤中に組み入れられる。
(方剤全体の作用を緩和し,副作用を防止するためと考えられる)
・甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
・桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
・桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
・小柴胡湯(しょうさいことう)
沢瀉(たくしゃ)
【寒・中・燥・降・散】
オモダカ科サジオモダカおよび近縁種の根
味は僅かに甘く,利尿作用がある。
・茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)
・柴苓湯(さいれいとう)
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
地黄(ぢおう)
生地黄は⋯【寒・中・潤・升・収】
熟地黄は⋯【温・補・潤・升・収】
ゴマノハグサ科アカヤヂオウまたは近縁種の根。
味は甘く,滋潤作用がある。
また血糖降下作用のあることが知られている。
地黄には生地黄(乾地黄)と熟地黄(蒸乾したもの)があり
後者は温める作用,補血作用が強いが
前者はむしろ熱をとる作用があり
中国では厳重に区別するが,日本では混同して用いられている。
・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
・人参養栄湯(にんじんようえいとう)
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
竹節(ちくじょ)
【寒・瀉・潤・降・平】
イネ科ハチクまたは近縁種の竹の上皮のすぐ下の部分をうすく綿状に削ったもの。
味は甘く,解熱・鎮静・鎮吐・止血作用がある。
・清肺湯(せいはいとう)
・竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)
地骨皮(ぢこっぴ・じこっぴ)
【寒・中・潤・中・収】
ナス科クコの根皮。
味は甘く,解熱・潤燥作用がある。
・清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
知母(ちも)
【寒・補・潤・降・散】
ュリ科ハナスゲの根茎。
味は僅かに苦く,解熱・消炎・止渇作用がある。
動物実験で,血糖降下作用のあることが認められている。
・酸棗仁湯(さんそうにんとう)
・白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
丁香(ちょうこう)または丁子(ちょうじ)
【熱・補・燥・升・散】
フトモモ科チョウジの蕾。
味は辛く,芳香性で,健胃・整腸・駆風作用がある。
漢方用としてより,香料として重要である。
・女神散(にょしんさん)
・治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)
釣藤(ちょうとう)または釣藤鈎(ちょうとうこう)
【寒・瀉・平・降・中】
アカネ科カギカズラの鉤刺のある茎枝。
味は苦く,鎮静・鎮痙・解熱作用がある。
・七物降下湯(しつもつこうかとう)
・釣藤散(ちょうとうさん)
・抑肝散(よくかんさん)
・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
猪苓(ちょれい)
【平・平・燥・中・散】
サルノコシカケ科チョレイマイタケの菌核。
味は甘く,利尿作用がある。
・茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)
・柴苓湯(さいれいとう)
・猪苓湯(ちょれいとう)
陳皮(ちんび)
【温・中・燥・中・散】
ミカン科ミカン,その他柑橘類の成熟果皮。
味は苦味と辛味を帯び,健胃・消化・去痰作用がある。
・釣藤散(ちょうとうさん)
・茯苓飲(ぶくりょういん)
天南星(てんなんしょう)
【温・瀉・燥・降・散】
サトイモ科テンナンショウまたは同属植物の根茎。
味は苦く,辛味があり,鎮痙・去痰作用がある。
・二朮湯(にじゅつとう)
天麻(てんま)
【平・補・燥・降・散】
ラン科オニノヤガラの根茎。
味は甘く,鎮痙・鎮静・強壮作用がある。
・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
天門冬(てんもんどう)
【寒・補・潤・降・散】
ユリ科クサスギカズラの根。
味は甘く,清涼・潤燥・止渇・鎮咳作用がある。
滋養・強壮薬として用いられる。
・清肺湯(せいはいとう)
冬瓜子(とうかし・とうがし)
【寒・瀉・燥・降・散】
ウリ科トウガンまたは近縁種の種子。
味は甘く,消炎・利尿・瀉下・排作用がある。
・大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)
当帰(とうき)
【温・補・潤・升・散】
セリ科トウキの根。
味は辛く,芳香性で,補血・月経調整作用がある。
冷え症の婦人を治す要薬。
・紫雲膏(しうんこう)
・七物降下湯(しつもつこうかとう)
・当帰飲子(とうきいんし)
・薏苡仁湯(よくいにんとう)
桃仁(とうにん)
【平・瀉・潤・降・散】
バラ科モモまたはその変種の種子。
味は苦く,月経調整・活血作用がある。
牡丹皮と共に代表的な駆瘀血薬である。
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
・桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)
・大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)
・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
杜仲(とちゅう)
【温・補・中・降・散】
トチュウ科トチュウの樹皮。
味は甘く,降圧・滋養・強壮・鎮痛作用がある。
・大防風湯(だいぼうふうとう)
独活(どっかつ・どくかつ)
【温・瀉・燥・升・散】
セリ科シシウドの根。
味は辛く,発汗・鎮痛・麻酔作用がある。
・十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
・独活葛根湯(どっかつかっこんとう)
人参(にんじん)
【温・補・潤・升・収】
ウコギ科オタネニンジンの根。
味は甘く,興奮・強壮・強精作用があり
古来漢薬の王者のように云われている。
・四君子湯(しくんしとう)
・清暑益気湯(せいしょえっきとう)
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
・六君子湯(りっくんしとう)
忍冬(にんどう)
【寒・瀉・燥・降・散】
スイカズラ科スイカズラの葉。
味は苦く,利尿・解毒作用がある。
諸化膿性疾患に用いる。
・治頭瘡一方(ぢづそういっぽう)
貝母(ばいも)
【寒・瀉・潤・降・散】
ユリ科アミガサコリまたは近縁種の鱗茎。
味は甘く,やや苦味があり,鎮咳・去痰・排膿作用がある。
・滋陰至宝湯(じいんしほうとう)
・清肺湯(せいはいとう
麦芽(ばくが)
【平・補・平・平・散】
イネ科オオムギを発芽させて,乾燥したもの。
味は甘く,健胃・消化・滋養作用がある。
各種消化酵素・ビタミン類を含む。
・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
麦門冬(ばくもんどう)
【寒・補・潤・降・散】
ュリ科ジャノヒゲまたは同属植物の塊根。
味は甘く,滋養・清涼・潤燥作用がある。
痰のない空咳に用いる。
糖尿病にも良い。
・温経湯(うんけいとう)
・辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
・麦門冬湯(ばくもんどうとう)
薄荷(はっか)
【涼・瀉・燥・降・散】
シソ科ハッカまたはその変種の葉。
辛味と苦味があり,芳香性で,発汗・駆風・鎮痛作用がある。
・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
・川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)
・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
半夏(はんげ)
【温・補・燥・降・散】
サトイモ科カラスビシャクの根茎。
味は辛く,鎮吐・祛痰・平喘作用がある。
漢方の鎮吐薬の代表である。
副作用を避けるために,通常生姜(時には乾姜)と組んで用いられる。
・小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
・半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
百合(ひゃくどう)
【平・補・潤・降・散】
ユリ科ササユリまたは同属植物の鱗茎。
味は甘く,鎮咳・平喘・強壮作用がある。
・辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
白芷(びゃくし)
【温・瀉・燥・升・散】
セリ科ヨロイグサまたはその変種の根。
辛味と苦味があり,芳香性で,鎮痛・麻酔・去痰作用がある。
・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
・清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
・疎経活血湯(そけいかっけつとう)
白朮(びゃくじゅっ)
【温・補・燥・平・収】
キク科オケラまたはオオバナオケラの根茎。
味は僅かに甘く,健胃・強壮・止瀉・利尿作用がある。
日本では蒼朮と混同して用いられることが多いが
蒼朮は発散作用が主であり,白朮は強壮・止瀉作用が主である。
・帰脾湯(きひとう)
・人参養栄湯(にんじんようえいとう)
枇杷葉(びわよう)
【平・瀉・潤・降・散】
バラ科ビワの葉。
味は苦く,鎮咳・平喘作用がある。
・辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
檳榔子(びんろうし)
【温・瀉・燥・降・散】
ヤシ科ビンロウの果皮を除いた種子。
味は苦く,駆虫・瀉下・健胃作用がある。
特に心下部の重苦しいのを発散する作用があると云われる。
・女神散(にょしんさん)
茯苓(ぶくりょう)
【平・補・燥・降・収】
サルノコシカケ科マツホドの菌核。
味は甘く,利尿作用がある。
また鎮静作用があり,目まいや動悸に有効である。
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
附子(ぶし)
【熱・補・燥・升・散】
キンポウゲ科トリカブトまたは近縁植物の塊根。
味は辛く,強心・鎮痛・利尿作用がある。
温める作用が強く、熱性薬の代表であるから
熱証者には用いてはならない。
猛毒性のアルカロイド,アコニチンを含むが
市場に在るものは加熱その他の方法で滅毒されている。
強心作用物質として,ハイゲナミンが発見された。
・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
・麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
防已(ぼうい)
【寒・瀉・燥・降・散】
ツヅラフジ科オオツヅラフジまたは近縁植物の蔓性の茎または根茎。
味は苦く,利尿・解熱・鎮痛作用がある。
・疎経活血湯(そけいかっけつとう)
・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
芒硝(ぼうしょう)
【寒・瀉・潤・降・散】
天然産結晶硫酸ナトリウム。
味は僅かに鹹く,瀉下作用がある。
塩類瀉下薬の代表とも云うべきもので,硫酸マグネシウムとほば同じ作用。
・通導散(つうどうさん)
・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
防風(ぼうふう)
【温・瀉・燥・升・散】
セリ科ボウフウの根。
味は辛く,発汗・発散・鎮痛作用があり,皮膚疾患に使われる。
・釣藤散(ちょうとうさん)
・当帰飲子(とうきいんし)
横漱(ぼくそく)
【不明】
ブナ科クヌギまたは同属植物の樹皮。
味は苦く,収斂作用があり,皮膚病の収斂の目的で用いられる。
・十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
牡丹皮(ぼたんび)
【涼・中・平・平・散】
キンポウゲ科ボタンの根皮。
味は僅かに苦く,消炎・活血作用がある。
消炎性駆療血として重要な薬物である。
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
・桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
牡蛎(ぼれい)
【平・補・燥・降・収】
食用として賞味されるカキの貝殻。
鹹く,鎮静・収斂・制酸・止汗作用がある。
炭酸カルシウム・燐酸カルシウムが含まれていることは確かであるが,他に
も有効成分がありそうである。
・安中散(あんちゅうさん)
・桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)・
・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
麻黄(まおう)
【温・瀉・燥・中・散】
マオウ科マオウまたは同属植物の茎
味は辛く,発汗薬の代表格。
鎮咳作用もある。エフェドリンの原植物。
・越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
・神秘湯(しんぴとう)
・麻黄湯(まおうとう)
・麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
麻子仁(ましにん)
【平・平・潤・降・平】
クワ科アサの種子。
味は甘く,潤腸・瀉下作用がある。
最も緩和な瀉下薬で,老人や虚弱者に適する。
・麻子仁丸(ましにんがん)
木香(もっこう)
【温・補・燥・中・散】
キク科モッコウの根。
味は辛く,芳香性があり,健胃・整腸・駆風作用がある。
・帰脾湯(きひとう)
・加味帰脾湯(かみきひとう)
・女神散(にょしんさん)
木通(もくつう)
【寒・瀉・燥・降・散】
アケビ科アケビまたは同属植物の蔓性の茎。
味は苦く,消炎・利尿・催乳作用がある。
・五淋散(ごりんさん)
・消風散(しょうふうさん)
・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
益母草(やくもそう)
【涼・瀉・燥・平・散】
シソ科メハジキの葉茎。
味は辛く,駆療血・活血・止血作用がある。
※漢方薬ではありませんが「薬用養命酒」に配合されています。
慧苡仁(よくいにん)
【涼・中・燥・降・散】
イネ科ハトムギの種子。
味は甘く,滋養・緩和・利尿作用がある。
イボを去り,皮膚の荒れを治す作用があるとされている。
・桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)
・麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)
・薏苡仁湯(よくいにんとう)
竜眼肉(りゅうがんにく) または竜眼(りゅうがん)
【温・補・平・降・収】
ムクロジ科リュウガンの果肉。
味は甘く,滋養・強壮・補血・鎮静作用がある。
・帰脾湯(きひとう)
・加味帰脾湯(かみきひとう)
竜骨(りゅうこつ)
【涼・補・燥・降・収】
古代哺乳動物(象・犀・牛など)の骨の化石。
味は僅かに甘く,鎮静・収斂・止血作用があり,
ことに臍下の動悸をしずめ,不眠を治す薬として用いられる。
カルシウム分が多いが,有効成分は不明。
・桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
竜胆(りゅうたん)
【寒・瀉・燥・降・収】
リンドウ科リンドウまたは同属植物の根茎および根。
味は苦味が強く,解熱・消炎・健胃・利胆作用がある。
・疎経活血湯(そけいかっけつとう)
・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
良姜(りょうきょう)
【熱・補・燥・升・散】
ショウガ科リョウキョウの根茎。
味は辛く,興奮・健胃・鎮痛作用がある。温める作用がで
炎症性胃炎には向かない。
・安中散(あんちゅうさん)
連翹(れんぎょう)
【寒・瀉・燥・降・散】
モクセイ科シナレンギョウまたは同属植物の果実。
味は苦く,解熱・消炎・利尿・排作用がある。
炎症性皮膚疾患に使用される。
・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
蓮肉(れんにく)または蓮子(れんし)
【平・補・燥・降・収】
スイレン科ハスの果実を蒸乾したもの。
味は甘く,滋養・強壮・止瀉・鎮静作用がある。
・清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
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